ナイロンは石油からできた合成繊維の一種で、摩擦などの刺激に強く変形しにくいという特徴があります。このナイロン繊維は衣料から日用品、工業製品まで様々な分野で使われていますが、ここではナイロン繊維からできた糸についてまとめました。

手芸用ナイロン糸の種類

手芸で使うナイロン糸は主に下記の3種類です。

・テグス糸
ビーズアクセサリーによく使われる、透明で極めて強い糸です。釣り糸にも使われています。張りがあって曲げにくいので、針を使わなくてもビーズの穴や薄手の生地には簡単に糸を通すことができます。表面はつるつるして滑りやすく、結んでもほどけやすいので、結び目は接着剤で固めるか、ほどけにくいように糸の余りを長く残し隠して処理します。

・レザークラフト用ナイロンボンド糸
ナイロン繊維は縒り合わせても繊維同士が絡まずにすぐ戻るという欠点があります。ボンドで加工することでこの縒りを安定させたものがこのナイロンボンド糸です。太さがあり、現在主にレザークラフト用として販売されています。
この糸は蝋をひいてから使うので、ナイロンの長所である強度はもちろんのこと撥水性にも優れており、強度と耐久性を求める工芸品にはぴったりの糸です。

・透明ミシン糸(モノカラー糸)
ミシン用の白または黒の糸です。白はテグスを引き伸ばしたような感触で透明感があり、縫う生地の色を選ばないという利点があります。しかし独特の光沢が生地に馴染まない場合もあり、使う場合は生地との相性をよく確かめてください。また通常のアクリルや木綿糸と異なり、硬くつるつるしている透明ミシン糸は縫うのに多少の技術を要します。

・伸縮性ミシン糸
ニットや肌着など、伸縮性がある生地を縫うのに向いたミシン糸です。ナイロンに特殊な加工を施すことで、縒り合わせた糸が剥がれにくくなりナイロンの伸縮性を十分に生かしています。他の糸と比べると多少光沢は強いですが悪目立ちするほどではありません。レジロン、リンリン、ポエロンなどが有名なブランドです。

手芸用ナイロン糸と他の糸との違い

ナイロン糸が他の糸に比べて抜きん出ているのは何といっても強度です。
摩擦による傷に強く磨耗しにくいことや、引っ張っても切れにくいなどの物理的な強度だけでなく、速乾性があり濡れた場合にも変形によるダメージをほとんど受けません。また他の糸と比べて軽く、糸は細くても丈夫なので薄く軽い生地を縫うのに向いています。

手芸用ナイロン糸の弱点

強度の高いナイロン糸もいくつかの弱点があります。

・高温
ナイロン糸は高熱にきわめて弱く、200度ほどの温度でも融けてしまいます。ですのでアイロンをかけるときは必ず低温でかけなければなりません。また火の側や高温下で使うアイテムの縫製にも注意が必要です。溶解はしなくとも変形のおそれがあります。

・酸性の薬品
ナイロンは酸性の薬品に弱いという特性があります。特に硫酸、塩酸などの薬品には気をつけてください。

・紫外線
日光などの紫外線を長時間浴びると、透明や色の薄いナイロン糸は黄色く変色することがあります。紫外線は強くなくとも直射日光があたる箇所で使われるナイロン糸は経年劣化しますので、長期に渡って使うものは日よけなどの対策が必要です。ただしこの変色や劣化は技術の進歩によって年々改善される傾向にあります。

まとめ

特性を理解して扱えば、強度が高いナイロン糸はとても便利で扱いやすいものです。そのためあらゆる既製品にも使われています。同様にハンドメイドにも大変役立つ素材なので、ナイロン糸の弱点には注意しつつぜひ取り入れてみてください。